このページでは、カテゴリー1,4,9以外のカテゴリーについて説明していきます。
スコープ3の15カテゴリーのうち、カテゴリー1,4,9は全体に占める排出量の割合、取り組みやすさといった点から重要である一方で、企業や業界・業種により重要なカテゴリーは異なることもまた事実です。例えば、大手建設業者A社の場合、カテゴリー11がサプライチェーン排出量の57.7%を占めています。そのため自社の業界・業種に応じて、スコープ3の1,4,9以外のカテゴリーにも注目することが必要です。
そこで、各カテゴリーの概要と計算方法についてざっくりと説明していきます。より詳しい排出量の算出について知りたい方は、当サイトにてぜひお問い合わせください。
スコープ3の計算方法の基本式は以下です。
活動量とは、「事業者の活動の規模に関する量」のことです。例えば、電気の使用量、貨物の輸送量、廃棄物の処理量、各種取引金額などが該当します。これらは、社内の各種データや、文献データ、業界平均データ、製品の設計値等から収集します。
排出原単位とは、「活動量あたりのCO2排出量」のことです。例えば、電気1kWh使用当たりのCO2排出量、貨物の輸送量1トンキロ当たりのCO2排出量、廃棄物の焼却1t当たりのCO2排出量などが該当します。基本的には既存のデータベースから選択して使用しますが、排出量を直接計測する方法や取引先から排出量の算定結果の提供を受ける方法もあります。
今回は、排出原単位として環境省が公開する「排出原単位データベース」の数値を用います。
参照元
環境省「排出原単位データベース」
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/DB_V3-1.xlsx
環境省「サプライチェーン排出量算定の考え方」
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/supply_chain_201711_all.pdf
カテゴリー2は、「資本財」から排出されるCO2排出量です。資本財とは、生産設備のことを指しており、年間設備投資金額を基に算出します。例えば製造業の工場が老朽化したために新工場を建設した場合などに該当します。
計算式は、以下のもので、活動量に年間設備投資額を、排出原単位にデータベースの「資本財」の排出源単価を代入して計算します。
カテゴリー3は、「Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動」から排出されるCO2排出量です。Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動とは、調達している燃料及びエネルギーの上流工程で排出されるCO2排出量を指しています。例えば、自社で使用しているガソリンを作るために、原油の精製工程で排出されるCO2が該当します。
計算式は以下のもので、活動量に燃料の調達量を、排出原単位にデータベースの「電気・熱」の排出源単価を代入して計算します。
カテゴリー5は、「事業から出る廃棄物」から排出されるCO2排出量です。例えば、廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送や処理にかかるCO2排出量が該当します。
計算式は以下のもので、活動量に燃料の廃棄物の量を、排出原単位にデータベースの「廃棄物」の排出原単位を代入して計算します。
カテゴリー6は、「出張」から排出されるCO2排出量です。例えば、従業員が出張する際に使用した飛行機等から排出されるCO2排出量が該当します。
カテゴリー6のCO2排出量の算定方法には、①出張費用を用いた算出、②従業員数を用いた算出の2種類があります。ただ、①の方が正確性は高いが、手間がかかるという違いがあります。
それでは順に計算方法を見ていきましょう。
①出張費用を用いた算出
交通機関のCO2排出量
宿泊のCO2排出量
②従業員数を用いた算出
カテゴリー7は、「雇用者の通勤」から排出されるCO2排出量です。
カテゴリー7のCO2排出量の算出方法には、①通勤支給額を用いた算出、②従業員数を用いた算出の2つがあります。
それでは順に計算方法を見ていきましょう。
①通勤支給額を用いた算出
通勤者CO2排出量
テレワーク従事者CO2排出量
③従業員数を用いた算出
カテゴリー8は、「リース資産(上流)」から排出されるCO2排出量です。例えば、自社が借りている建物の運用に伴うCO2排出量が該当します。
CO2排出量の計算方法には、以下の3つのものがあり、条件に合うやり方で計算します。
①リース資産ごとにエネルギー種別の消費量が把握できる場合
②リース資産ごとのエネルギー消費量は把握できるが、
エネルギー種別の消費割合が不明な場合
③上記の方法による算出が難しい場合
カテゴリー10は、「販売した製品の加工」から排出されるCO2排出量です。
計算式は以下のもので、活動量に中間商品の販売量を、排出原単位データベースには記載されていないので、環境省が公開する「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」の排出原単位を代入して計算します。
カテゴリー11は、「販売した製品の使用」から排出されるCO2排出量です。カテゴリー11は販売する製品により、計算方法が大きく異なり、非常に多種の計算方法が必要となるため、割愛させて頂きます。カテゴリー11を計算したい方は、下記を参照してください。
環境省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.4)」
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/GuideLine_ver2.4.pdf
カテゴリー12は、「販売した製品の廃棄」から排出されるCO2排出量です。
計算式は以下のもので、活動量に廃棄物の量を、排出原単位にデータベースの「廃棄物」の排出原単位を代入して計算します。
カテゴリー13は、「リース資産(下流)」から排出されるCO2排出量です。計算方法は、カテゴリー11を参照してください。
カテゴリー14は、「フランチャイズ」から排出されるCO2排出量です。これは、自社がフランチャイザーである場合に、フランチャイジーが排出するスコープ1,2の排出量が該当します。
計算方法は、スコープ1,2のものを参照してください。
カテゴリー15は、「投資」から排出されるCO2排出量です。例えば、自社が投資した先の企業で排出されるCO2排出量が該当します。株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンス、管理投資および顧客サービスの4つの投資についてそれぞれ計算する必要があります。そのため非常に多種の計算方法が必要となるため、割愛させて頂きます。カテゴリー15を計算したい方は、下記を参照してください。
環境省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.4)」
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/GuideLine_ver2.4.pdf
カテゴリー1~15に該当しない活動に伴い排出されるCO2について、自由に算出することができます。例えば、従業員や消費者の日常生活にかかるCO2排出量が該当します。
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