スコープ2のCO2排出量の計算に入る前に、スコープ1とスコープ2の違いについてもう一度詳しくおさらいしておきましょう。
例えば、温水を作る場合、下記図表のスコープ1 では、自社内にボイラーを保有し、灯油を燃焼することで温水を作ります。この場合、自社が灯油を燃やすことで直接的にCO2を排出するため、スコープ1となります。
例えば、下記図表のスコープ2では、自社が熱導管を通して熱供給事業者より温水を購入し、使用しています。この場合、灯油を燃やしCO2を排出しているのは熱供給事業者ですが、使用しているのが自社であるため間接的にCO2を排出していると言え、スコープ2となります。
それでは、スコープ2のCO2排出量の計算について説明していきます。
スコープ2のCO2排出量は、以下のように計算されます。
次に、電気・熱のCO2排出量を算出する基本的な計算式は以下のものになります。
実際に電気、熱それぞれの計算方法の詳細を見てきましょう。
まず電気の供給源ごとのCO2排出量を把握し、それらを合算することで、電気全体のCO2排出量を導きだします。
電気のCO2排出量の計算2ステップ
過去1年間(12ヶ月)の電気使用量のデータを収集します。電気料金請求書やメーターの値などから、使用量を把握します。また電力会社が複数ある場合は、電力会社ごとに使用量を収集します。
供給源ごとにCO2排出係数(電力1kWhあたりのCO2排出量)を確認します。CO2排出係数は、環境省が毎年最新版のものを開示しているので、計算する年の前年度の数値を自社が契約する電力会社ごとに把握します。
この時注意するポイントとして、用いる排出係数は「調整後排出係数」であり、「基礎排出係数」ではないことです。
基礎排出係数とは、電気事業者が供給した電気の発電に伴い排出したCO2排出量を、その供給電力量で除して算出した係数」です。
一方で、調整後排出係数とは、当該事業者の実CO2排出量に、再生エネルギーの固定価格買取制度による買取負担分や、カーボンオフセット等のCO2排出量相殺分を反映し、より実態に近い排出量に調整した数値です。
温対法に基づく温室効果ガス排出量の報告では、基礎排出係数、調整後排出係数の両方を使い、それぞれのCO2排出量を計算しなければならない一方、その他の報告においてはより実態に即している調整後排出係数を用いて算定する方が好ましいとされています。
最後に、①と②で把握した供給元ごとのCO2排出量とCO2排出係数を積算します。これにより、供給元ごとのCO2排出量が算出できます。
供給元ごとのCO2排出量計算イメージ
供給元ごとのCO2排出量を合算し、電気全体のCO2排出量を算出します。
「熱」とは、主に「蒸気、温水、冷水」を熱供給事業者より、供給されている場合に用います。
熱供給事業者とは、蒸気や冷水、温水を一か所でまとめて製造し、蒸気管や熱導管を通じて、複数の建物に供給する事業者のことです。熱をまとめて製造・供給することにより、省エネルギーや省スペース化などのメリットがあります。
まず熱源ごとのCO2排出量を把握し、それらを合算することで、熱全体のCO2排出量を導きだします。
熱のCO2排出量の計算2ステップ
熱源ごとの過去1年間(12ヶ月)の熱使用量のデータを収集します。請求書やメーターの値などから、使用量を把握します。
熱のCO2排出係数は、0.060tCO2/GJです。
最後に、「①熱源ごとの熱使用量」と『②CO2排出係数」を積算します。
これにより、熱源ごとのCO2排出量が算出できます。
熱源ごとのCO2排出量を合算し、熱全体のCO2排出量を算出します。
スコープ2のCO2排出量の計算では、自社でグリーン発電し、他社へ供給する場合において、「電気・熱のCO2供給量」の分だけスコープ2のCO2排出量から差し引くことができることができます。しかし、太陽光発電をおこなっている事業者以外に該当するケースは少ないです。
これらは、上記1、2で紹介した「企業が他社から供給された」電気・熱の計算と同じようにします。
「電気のCO2排出量」、「熱のCO2排出量」、「電気・熱のCO2供給量」を、下記スコープ2のCO2排出量算出式にあてはめ、計算することで「スコープ2のCO2排出量」を算出できます。
スコープ2のCO2排出量算出式
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