スコープ1は「企業自体が直接排出するCO2」です。例えば、鋳造工場(金属加工業)において、炉を用いて金属を加熱する際に排出されるCO2などが該当します。
スコープ1は「燃料の使用による直接排出」であることが多く、営業車の走行や焼却設備、ボイラー、フォークリフトの使用等で自社が直接排出した温室効果ガスの量のことを指します。燃料の使用による直接排出以外では、工場での化学反応や温室効果ガスの大気放出による直接放出が挙げられます。
スコープ1の計算方法について解説します。スコープ1の算定範囲は業種ごとに多種多様です。本サイトでは、特に幅広い業種が該当する「燃料の燃焼によるCO2排出量」の計算方法を解説します。「燃料の燃焼によるCO2排出量」以外の計算については、個々のケースによって大きく異なるため、割愛させていただきます。もし計算が必要である方がいれば、当社までお問い合わせください。
スコープ1の排出量は、「燃料ごとのCO2排出量の合算」で算出します。
次に、各燃料のCO2排出量を算出する基本的な計算式は以下のものになります。
排出係数とは、ある製品やサービスを生産する際に排出される温室効果ガス(主に二酸化炭素)の量を表す係数のことです。つまり、ある1単位の製品やサービスを生産する際に排出されるCO2の量を示しています。
排出係数は燃料によって異なります。一般的には環境省が公表している排出係数を用いることが多く、以下のように示されます。
環境省発行 各種燃料のkgCO2換算の排出係数
燃料の種類 | 燃料使用量の単位 | 排出係数 |
---|---|---|
一般炭 | kg | 2.33 |
ガソリン | L | 2.32 |
ジェット燃料油 | L | 2.46 |
灯油 | L | 2.49 |
軽油 | L | 2.58 |
A 重油 | L | 2.71 |
B 重油又はC 重油 | L | 3.00 |
液化石油ガス(LPG) | kg | 3.00 |
液化天然ガス(LNG) | kg | 2.70 |
都市ガス | Nm3 | 2.23 |
都市ガス(参考) | m3 | 2.16 |
横にスクロールで表全体をご確認いただけます。
※環境省「温室効果ガス総排出量算定方法ガイドラインVer.1.0」より(株)ゼロプラス作成。
上記以外の各種燃料の発熱単位量については、https://www.env.go.jp/policy/local_keikaku/data/guideline.pdfを参照してください。
まず各燃料のCO2排出量を把握し、それらを合算することで、スコープ1のCO2排出量を導きだします。
スコープ1のCO2排出量の計算2ステップ
過去1年間(12ヵ月)の各燃料ごとの使用量のデータを収集します。
環境省が発行する排出係数を使用してください。ガソリンであれば、「2.32」、灯油であれば「2.49」となります。
環境省発行 各種燃料のkgCO2換算の排出係数
燃料の種類 | 燃料使用量の単位 | 排出係数 |
---|---|---|
一般炭 | kg | 2.33 |
ガソリン | L | 2.32 |
ジェット燃料油 | L | 2.46 |
灯油 | L | 2.49 |
軽油 | L | 2.58 |
A 重油 | L | 2.71 |
B 重油又はC 重油 | L | 3.00 |
液化石油ガス(LPG) | kg | 3.00 |
液化天然ガス(LNG) | kg | 2.70 |
都市ガス | Nm3 | 2.23 |
都市ガス(参考) | m3 | 2.16 |
横にスクロールで表全体をご確認いただけます。
※環境省「温室効果ガス総排出量算定方法ガイドラインVer.1.0」より(株)ゼロプラス作成。
上記以外の各種燃料の発熱単位量については、https://www.env.go.jp/policy/local_keikaku/data/guideline.pdfを参照してください。
各燃料の使用量と排出係数を積算します。
例として、ガソリン、灯油、軽油をそれぞれ10Lずつ燃料として使用した際の排出量を求めてみましょう。
ガソリンのCO2排出量
灯油のCO2排出量
軽油のCO2排出量
最後に、各燃料のCO2排出量を合算し、スコープ1の排出量を算出します。
ガソリン、灯油、軽油をそれぞれ10Lずつした場合の、燃料ごとのCO2排出量を全て合算すると、
(ガソリン)+24.9 kg-CO2(灯油)+25.8kg-CO2(軽油)
=73.9 kg-CO2(燃料ごとのCO2排出量の合算)
となります。
このように、算出した燃料ごとのCO2排出量を全て合算することで、スコープ1の排出量を求めることができます。
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