脱炭素の情報を集める

コラム

2023.07.18

中小企業が脱炭素化を進める4つのステップ


目次
第1ステップ:CO2排出量を把握する
第2ステップ:省エネに取り組む
第3ステップ:再生可能エネルギーを導入する
第4ステップ:カーボンオフセット

 
 
 
脱炭素化は、現代のビジネスにおいてますます重要な課題となっています。特に中小企業は、資源や予算の制約があるため、取り組みを始めることが難しいかもしれません。しかし、持続可能性の観点からも、脱炭素化は避けて通れない課題です。この記事では、中小企業が脱炭素化を進めるための4つのステップを紹介します。本稿は環境省の「カーボン・オフセットガイドライン」を参考にしています。
環境省「カーボン・オフセットガイドライン」https://www.env.go.jp/content/000130730.pdf

第1ステップ:CO2排出量を把握する

脱炭素化のためには、まず自社のCO2排出量を把握することが重要です。このステップは、現在の状況を客観的に把握し、脱炭素化の方向性を決めるための基礎となります。以下に、CO2排出量を把握するための具体的な手順を紹介します。

1. スコープの決定

CO2排出量の把握には、排出源をスコープ分けすることが重要です。通常、スコープ1、スコープ2、スコープ3の3つに分けられます。スコープ1は直接的な排出源(例: 燃料の燃焼による排出)、スコープ2は間接的な排出源(例: 電力の使用による排出)、スコープ3は間接的な供給チェーンなどに関連する排出を指します。自社の活動に応じて、スコープを明確にしましょう。

2.エネルギー使用量の計測

まずは自社のエネルギー使用量を正確に計測しましょう。電気やガス、燃料などのエネルギー源の使用量を把握することで、主要なCO2排出源を特定することができます。各部門や施設ごとにデータを収集し、総合的なイメージを得ることが重要です。

3.CO2排出係数を調べる

各エネルギー源にはCO2排出係数が存在します。これは、単位エネルギーあたりに排出されるCO2の量を示す指標です。関連するデータベースやガイドラインを参考に、使用するエネルギー源のCO2排出係数を調査しましょう。これにより、エネルギー使用量から具体的なCO2排出量を算出することができます。

4.データの集計と分析

CO2排出量のデータを集計し、分析を行います。主要な排出源や業務プロセスの特定、特に排出の大きい部門や活動の特定を目指します。これにより、脱炭素化の優先順位を設定し、効果的な対策を講じることができます。

第1ステップとして、中小企業がCO2排出量を把握することは、脱炭素化の取り組みの基礎となります。しかし、自社で計測するのは、少し手間がかかると感じると思われます。弊社では、CO2の排出量を可視化する「ゼロモニ」というサービスを提供しておりますので、ご検討いただければと思います。
CO2排出量モニタリングサービス 「ゼロモニ」https://www.co2-hikaku.com/support/

 

SDGs_monitor

 

第2ステップ:省エネに取り組む

中小企業が簡単に脱炭素化に取り組める方法として、省エネが挙げられます。以下では、企業が取り組むことのできる省エネの方法をいくつか紹介していきます。

1.エネルギー使用のモニタリングと分析

まずは、企業のエネルギー使用量をモニタリングし、分析することが重要です。電力使用量やガス消費量などを定期的に計測し、どの部分で多くのエネルギーが使用されているかを特定します。

2.エネルギー効率の向上

モニタリング結果に基づき、エネルギー効率の低い機器や設備を特定し、効率の高いものに置き換えることで、電力消費を削減できます。例えば、省エネ冷蔵庫や省エネエアコンなど、エネルギー効率の高い機器の導入を検討しましょう。

3.照明の効率化

照明にはLED照明の導入や自動制御システムの導入など、効率化の方法があります。明るさを維持しつつ、照明にかかる電力消費を削減しましょう。

4.施設の断熱改善

施設の断熱性能を向上させることで、冷暖房にかかるエネルギー消費を削減できます。断熱材の導入や窓の二重窓化などを行い、熱の逃げを抑えましょう。

5.スタンバイ電力の削減

スタンバイ電力は無駄な電力消費の一因です。コンピューターやオフィス機器など、使用していない際に電源を切ることで、スタンバイ電力を削減できます。

 

SDGs_Energysaving

 

第3ステップ:再生可能エネルギーを導入する

続いて、CO2削減のために取り組むべきなのが「再生可能エネルギーの導入」です。以下では、再エネ由来の電力への切り替えと自社発電のメリット・デメリットに説明します。

1.「再エネ由来の電力」への切り替え

再エネ電力への切り替えとは、元々の電力会社やプランを、再エネ電気を扱う電力会社やプランに切り替えるだけ再生可能エネルギ―の導入を実現できる方法です。

  • •メリット
  • ①導入費用がかからない自社に設備を導入する必要などがないので、導入費用がかかりません。
  • ②エネルギーソースの多様化太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギー源からの電力利用により、エネルギーの持続可能性を高めることができます。
  • •デメリットデメリットとしては、電力会社の倒産リスクが挙げられます。特に、大出電力会社以外の新電力と呼ばれる電力会社は、近年の「電気料金の値上がり」を受けて、2021年4月には「706社」あった新電力会社のうち、2022年6月8日時点でその「約15%」にあたる「104社」が契約停止や撤退をしています。
2.自社で発電する

再生可能エネルギ―を導入する方法として、自社に太陽光パネルなどの設備を取り付けて自社で発電するという方法があります。

    • •メリット
    • ①エネルギーソースの自給自社発電により、電力の自給自足が可能となります。外部の電力供給に頼らずに自社でエネルギーを創り出すことで、エネルギーセキュリティを確保することができます。
    • ②コスト削減自社で発電することによって、電力コストを削減することができます。発電コストは導入費用や運営コストによって影響を受けますが、長期的には自社で発電したエネルギーを利用することで、外部からの電力購入費用を削減できる場合があります。
    • •デメリット
    • ①導入コスト自社発電には、初期投資が必要なので、発電設備の導入費用や関連する設備やシステムの導入にコストがかかる場合があります。投資回収期間や収益性を慎重に評価する必要があります。
    • ②専門知識の必要性自社発電には、ある程度の専門知識が必要です。設備の設計、運用管理、トラブルシューティングなど、適切な専門知識を持つスタッフや専門家のサポートが必要となります。

 

SDGs_save

 

第4ステップ:カーボンオフセット

カーボンオフセットとは、CO2排出量の削減において、努力しても削減しきれない分を、温室効果ガスの排出削減量を購入や、植林や環境保護への寄付などを通じて埋め合わせることを言います。ちなみに、カーボンは「炭素」という意味で、オフセットは「埋め合わせ」という意味です。以下では、主なカーボンオフセットに取り組む方法について説明します。

1.クレジットの購入

カーボンオフセットに取り組む方法の一つとしてクレジットの購入があります。日本国内でのクレジットの売買には、Jクレジット制度を利用します。Jクレジット制度とは、企業や自治体などの取り組みで排出削減・吸収された温室効果ガスを「クレジット」として認証し、売却できるようにした制度です。このクレジットを購入することで、自社で発生した温室効果ガスを、埋め合わせることができます。

環境省「Jクレジット制度について」https://japancredit.go.jp/about/outline/

2.クレジット付きの商品・サービスを販売

自社の製品やサービスの販売時に、クレジットを付与して販売するという方法も認められています。この方法では、企業が温室効果ガス削減をしていることにはなりませんが、企業を通じて消費者がカーボンオフセットを実施することができます。この方法は企業が消費者のカーボンオフセットの手助けをしていることになるので、企業のイメージアップにつながるでしょう。

3.寄付によるカーボンオフセット

企業がイベントやキャンペーンなどを実施し、寄付を募り、その資金でクレジットを購入する方法もあります。企業はクレジットを購入しますが、このクレジットはカーボンオフセットには使用されず、資金のクレジットの創出者へ渡る形になります。これにより企業自身は、炭素排出量を削減することにはなりませんが、資金はプロジェクトの実施や継続的な環境保護活動に使用されるので、間接的に環境への貢献を行うことができます。

まとめ

本記事では、中小企業が脱炭素を進めるために必要な4つのステップについて説明してきました。このように脱炭素に取り組み方は様々であり、自社に合った方法を見つけることが重要です。自社にとっての最適な取り組み方を見つけ、行動に移すことで、脱炭素化の波に遅れないようにしましょう。

 

SDGs_carbonoff

お問い合わせ

ご依頼やご相談など
お気軽にご連絡ください

CO2排出量診断

複雑なCO2排出量の計算を、
簡易的に行う診断ツールです。
詳細なモニタリング診断も行う
サービスも用意しています。