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コラム

2025.04.18

グリーン成長戦略とは?詳しく解説します!

11月にリニューアルしたSBT認証ですが、私たちが支援している企業がようやく取得までたどり着きました。SBT事務局による審査が厳格化して修正依頼や問い合わせが届いたことにより、認定取得までの期間が大幅に伸びましたが、取得までたどり着いた企業の方からは喜びの声が届いています。

さて、政府は2050年のカーボンニュートラル実現に向け、産業構造や社会経済の変革を強く推進しています。この大きな目標を達成することは容易ではありませんが、「グリーン成長戦略」はその達成に向けた重要な基盤となる戦略です。今回は、グリーン成長戦略の概要と、中小製造業に関連する内容を解説します。

 

グリーン成長戦略とは

グリーン成長戦略とは、2021年6月に経済産業省によって策定された産業戦略です。温暖化対策を経済成長の機会と捉え、環境と経済の好循環を生み出すことを目指しています。この戦略では、2050年を見据え、成長が特に期待される14の重点分野を選定しています。これらの分野に対し、高い目標を掲げ、可能な限り具体的な実行計画を示すことで、技術開発を目指す企業が挑戦しやすい環境を作っています。
実行計画は、分野ごとに2050年までの時間軸で工程表に落とし込み、技術開発と社会実装を促進することで、新たな市場の創出や雇用の拡大を目指しています。2025年4月から開催される大阪・関西万博では「未来社会の実験場」として、グリーン成長戦略の複数の分野における実証が行われる予定です。

(出典)経済産業省
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/green_innovation/pdf/gi_007_03_01.pdf

 

中小製造業に関連する分野

グリーン成長戦略の対象となる14分野は、幅広い産業に関わります。これらの分野の成長は、サプライチェーンの変化など、中小製造業の事業環境に影響を与える可能性があるため、どの分野が自社に関連するのか確認しておくことが重要です。ここでは、いくつかの分野をご紹介します。

・自動車・蓄電池分野

自動車分野では、2035年に新車販売における電動車の比率を100%とすることが目標とされています。既存のガソリン車にはない電気自動車特有の部品の製造などに関わることで、中小製造業は事業を拡大できるだけでなく、環境負荷低減に貢献するという社会的意義をもつことができます。

 

・半導体・情報通信分野

この分野では、研究開発を通じて2040年のカーボンニュートラル実現を目指しています。グリーンイノベーションの核として用いられる半導体の製造装置部品の供給に参入することで、社会の脱炭素化への貢献になると同時に、需要増加に伴う長期的な取引先確保にもつながります。

 

・住宅・建築物・次世代電力マネジメント分野

住宅・建築物の省エネ基準向上に伴い、エアコン等の設備も高効率化が求められています。中小製造業においても、より小型軽量化された高付加価値部品を製造することで、設備の効率向上だけでなく、設置性や輸送効率の向上にもつながるため、取引先に対して、自社の優位性を示すことができます。

 

中小製造業への支援策

新たな取組みを始めることは、中小企業にとってコスト負担が大きくなる場合があります。そこで、初期投資を軽減し中小企業の競争力を向上させるために、政府による支援策が用意されています。こうした支援を行うことによって中小企業の成長へ投資を行うとともに、社会の脱炭素化と経済成長の促進を見込んでいます。

・ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)

以前の「グリーン枠」が廃止され、新たに「製品・サービス高付加価値化枠」となりました。中小企業が自社の技術力等を活かして新製品・新サービスの開発を行うための設備投資等を支援する制度です。単に新しい設備を導入するだけでなく、その設備を使って新製品の製造や、新分野への事業展開などが伴う必要があります。


(出典)ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html

 

・中小企業新事業進出促進事業

この補助金は、中小企業・小規模事業者の成長につながる新事業進出・事業転換を重点的に支援するものです。例えば、「機械加工業でのノウハウを活かして、新たに半導体製造装置部品の製造に挑戦する」といったこれまでの事業とは異なる分野に挑戦する際に、活用できる補助金となります。

(出典)中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/shinjigyo_shinsyutsu.pdf

これらの支援策を有効に活用すれば、政府が重点的に発展を後押しする成長産業において、これまで培ってきた技術を応用し、新たな事業を創出するチャンスを広げることができます。

 

まとめ

グリーン成長戦略は、14の重点分野に向けた政策であると同時に、中小製造業にとっても、持続可能な成長を実現するための大きなチャンスとなります。カーボンニュートラルへの取組みは、社会的な責任を果たすだけでなく、企業の新たな価値創造や競争力強化にも繋がります。まずは、自社の技術や強みを活かして、どのような事業に参入できる可能性があるのか、検討してみましょう。

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