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コラム

2025.03.07

建築物も脱炭素化~中小製造業が取り組むべきこと~

日本政府は2050年までにCO₂排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指しています。これに伴い、自動車や電力といった分野だけでなく、建築物においてもCO2削減対策が進められていることをご存知でしょうか。今回は建築物における脱炭素化の動向と、それが建材関連の中小製造業に与える影響について解説します。

 

 

 

建築物のライフサイクルにおけるCO2排出

2024年11月、国土交通省は「建築物のライフサイクルカーボン削減に向けた取組」を発表しました。これは、建築物のCO2排出を、使用時だけでなく「建設」「維持管理」「解体」までの全ライフサイクルで削減することを目的としています。
特に注目すべきは、建築資材の調達から建設までの段階で発生するCO2、いわゆるエンボディドカーボン(※建築資材の生産・輸送・施工などに伴うCO2排出)の削減が求められている点です。つまり、製造工程でCO2排出の少ない建材への需要が高まるということです。

出典:国土交通省 建築物のライフサイクルカーボン削減に向けた取組より
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/building_lifecycle/dai1/siryou3.pdf

 

大企業の動き

建築業界の大手企業はすでに動き始めています。例えば大和ハウスグループでは、自社のCO2排出だけでなく、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現を目指しています。
同社の調査によると、バリューチェーンにおけるCO2排出量のうち、約3割が原材料や資材の調達(購入段階)から発生しています。このため同社は、主要サプライヤーに対してCO2削減目標の設定を求めるなど、サプライチェーン全体での削減に取り組んでいます。

出典:大和ハウス工業㈱HPより
https://www.daiwahouse.co.jp/sustainable/eco/products/energy_zero/index.html

このような動きは大和ハウスグループにとどまらず、他の大手建設会社やゼネコンにも広がりつつあり、中小製造業にも影響を与えることが予想されます。

 

中小製造業への影響と取り組むべきこと

建築物の脱炭素化が進む中で、中小製造業が対応すべき重要なポイントの一つは「調達原材料の見直し」です。特に、低炭素建材の供給状況を把握し、将来的な調達方針を検討することが求められます。

⓵調達先の最新状況を確認する

まず、現在の調達先に脱炭素に関する状況を確認しましょう。
・業界の動向として、脱炭素への取り組みがどうなっているか
・低炭素建材の取り扱いを始めている企業はあるか、または取引先などから要請があった企業があるか
・今後の業界全体の動向についての調達先としての見解はどうか

こうした情報を把握することで、自社が対応すべき優先度や、どの程度のスピード感で進めるべきかの判断材料になります。

⓶グリーンスチール、低炭素コンクリートについて情報収集をする

脱炭素の流れの中で、今後主流になる可能性があるのがグリーンスチールと低炭素コンクリートです。
・グリーンスチールは製造時のCO₂排出を大幅に抑えた鉄鋼製品ですが、まだ流通量が少なく、価格も高いのが現状です。
・低炭素コンクリートは、産業副産物(高炉水砕スラグなど)を活用し、セメント由来のCO₂排出を削減する技術ですが、供給量に限界があります。

「自社の製品にどう影響するのか」「取引先からの要請はあるか」を踏まえ、これらの建材の特性や市場動向を把握しておくことが、今後の意思決定に役立ちます。

グリーンスチールの詳細は過去のコラムをご確認ください。
「中小製造業調達網が変わる!?~グリーンスチールの活用について~」https://www.co2-hikaku.com/column/1817/

③今後の調達方針を検討する

情報を整理したら、自社の調達戦略をどのように変更するかを検討する段階に入ります。
・既存の調達先を維持するのか、新たな供給元を開拓するのか
・低炭素建材の導入を、どのタイミングで進めるか
・同業者と協力し、まとまった発注をすることでコストを抑える方法はあるか

今すぐ全てを変える必要はありませんが、「将来どう動くべきか」を見据えた準備を始めることが重要です。

 

まとめ

建築物の脱炭素化が進む中、エンボディドカーボンの削減が求められることで、中小製造業にもCO₂排出量の削減要請が来る可能性があります。その打ち手として重要なのが、低炭素建材の調達検討です。建設業者や建材メーカーと取引のある中小製造業は、今後の取引継続のためにも、対応を始める必要があります。しかし、すべてを一度に実施する必要はありません。まずは、調達先との脱炭素情報収集を目的としたコミュニケーションや低炭素建材の情報を集めることから始めていきましょう。

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