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コラム

2025.02.28

企業価値を高めるカギ!カーボンフットプリント算定の実際

1.はじめに

前々回のコラムでも触れた岡山大学での脱炭素セミナーに、2025年2月17日に参加してきました。今回の報告会では、CFP(カーボンフットプリント)算定を中心とした脱炭素に関する内容がレクチャーされました。その中で、岡山県のある老舗菓子店の製品がCFP算定モデルとして取り上げられていました。岡山県民はもちろん、旅行や仕事で訪れた際に岡山土産として一度は手にしたことがあるであろう、あのお菓子です。身近なものがモデルになっていると、より興味が湧いてきます。CFP算定のプロセスについても詳しく紹介されており、改めて勉強になりました。
さて、最近CFP算定に取り組む大企業が増えており、その事例を耳にするようになってきました。本コラムでは、大企業の製品CFPの算定事例をふまえながら、中小製造業への影響と対策をご説明します。

 

2.そもそもCFPって?

CFP(カーボンフットプリント)とは、製品やサービスのライフサイクル全体における温室効果ガス排出量をCO2排出量に換算し、分かりやすく表示する仕組みのことです。原材料調達から生産、流通・販売、使用、そして廃棄・リサイクルまでの各段階における環境負荷を可視化します。

※CFPについて詳しくは、過去のコラムをご覧ください。
(第1弾)CFP(カーボンフットプリント)とは?
https://www.co2-hikaku.com/column/1110/

(第2弾)CFP(カーボンフットプリント)の算定手順をわかりやすく解説!
https://www.co2-hikaku.com/column/1591/

出典:CFPプログラム https://www.cfp-japan.jp/about/howto.html

 

CFP算定が広がった背景には、政府や投資家などが国内大企業にたいして、サプライチェーン全体での脱炭素対応を求めていることが挙げられます。その具体例として、環境省の「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」に参画した企業のCFP算定事例をご紹介します。

参考:環境省「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」
https://www.env.go.jp/press/press_03362.html

 

3.CFP算定の具体例(株式会社I-neによるCFP算定結果の紹介)

株式会社I-neは、BOTANIST(ボタニスト)ボタニカルシャンプーモイストのボトル460mL(左)と詰め替えパウチ400mL(右)のCFP算定を実施しました。

出典:カーボンフットプリント算定報告書 https://i-ne.co.jp/files/BOTANIST_CFP.pdf

算定の結果、商品1本あたりのCFPは、以下のとおりとなりました。
・ボトル(460mL):28.6kg-CO2e
・詰め替えパウチ(400mL):24.6kg-CO2e

製品ライフサイクルの段階別にCO2排出量を分析したところ、消費者のシャワー利用など使用段階における排出が9割以上を占めています。

企業努力が影響する項目に着目するため、シャンプー1回あたりのCFPを算出したところ、以下のとおりとなりました。
・ボトル(460mL):29.5g-CO2e
・詰め替えパウチ(400mL):24.3g-CO2e

製品ライフサイクルの段階別にCO2排出量を分析したところ、詰め替えパウチはボトルと比べて、原材料調達段階と廃棄・リサイクル段階のCO2排出量が少ないことがわかりました。詰め替えパウチを選ぶ消費者行動が、地球環境に優しいことも定量的に証明されました。

 

4.中小製造業に与える影響

ここで特に強調したいポイントが1つあります。大企業のサプライチェーンにおける原材料調達は、中小企業側から見ると、自社の原材料調達から生産、流通・販売までの全工程のCO2排出量の合計に相当するということです。

株式会社I-neは、カーボンフットプリント算定報告書の中で、今後の方向性について、サプライチェーン上の取引先との協力関係を強化し、データ提供に関する合意形成を進めますと明記しています。
また、私たちゼロプラスが支援する板金加工業のお客様は、情報機器などを製造する大企業から、製品ベースで原材料調達や使用にかかるCO2排出量の削減提案を求められました。当企業は、SBT認証の取得やCO2排出量の可視化を終えており、次のステップとして製品CFPの算定に取り組み始めています。
大企業のサプライチェーンに属する中小製造業のみなさまにおいても、いずれこうした要請を受ける可能性が高いため、今のうちから準備を進めておくことが大切です。

 

5.まとめ

CFP算定は、CO2排出量の可視化にとどまらず、脱炭素への取り組みを対外的にアピールする有効な手段となります。こうした取り組みは、製品の付加価値や取引先からの脱炭素要請への対応を可能にし、業績向上や新規取引の獲得につながる可能性を持っています。競争力強化と持続的な成長のために、今から脱炭素経営への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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