科学的根拠に基づく温室効果ガス排出削減目標設定の国際認証であるSBT(Science Based Targets)。この中小企業版SBTの申請要件が2024年11月に改定されたことは以前のコラムでお伝えしましたが、実際に申請支援を行ってみると、改定のアナウンスの無かった部分でもいくつか変更点があることが分かりました。今回は、従来のSBT申請手続きとの違いについて解説していきます。
「2024年11月にSBT認定制度が改定!中小製造業への影響と対策」https://www.co2-hikaku.com/column/1792/
SBTは近年取得件数が大幅に伸びており、大きな注目を集めています。私たちゼロプラスは中小企業の脱炭素経営支援を行っていますが、最近では取引先からの調査でSBTを取得しているか尋ねられたという中小企業が増えています。実際にSBT認証を取得した方からは、取引先からの評価の向上につながっているとの声があり、メディアへ掲載されたり、SBTのHPを見た海外の学生からのインターンの応募があったりと、SBTの知名度の高まりに伴って認定取得の効果が出てきています。SBTは国際認証ではありますが認証取得件数は日本が最も多いため、海外の企業はもちろん国内の企業との取引においても重要となってくる認証であると言えます。
以前のコラムではSBTの改定による変更点として以下の3点をご紹介しました。
・アカウント登録の義務化
・目標年の柔軟化
・基準年の選択拡大
実際に申請手続きを行うと申請項目や事務局による審査等、以前ご紹介した箇所以外にも従来とは異なる点がありました。これからSBT認証の取得をお考えの方は以下の点をぜひ参考にしてください。
オンライン検証ポータルを通じて申請を行うにあたり、アカウント作成が必要になったことは以前のコラムでもお伝えしました。アカウントを作成することでオンライン検証ポータルにマイページが作成され、手続きの進捗状況を常時確認することが可能になりました。海外とのやり取りにつき詳細な連絡が来ないため、マイページで進捗状況を把握できることで事務局への進捗確認が不要となりました。
赤枠で示した部分に表示されるステータスは以下の状況を示しています。
Form in Progress:必要情報を入力中の段階
Submitted:入力情報を提出した段階
Under Review:事務局による審査中の段階
Update Required:不備により修正が必要な段階
Accepted:申請が承認された段階
Rejected:申請が拒否された段階
SBT申請において排出量算出の対象となるGHGは二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六フッ化硫黄、三フッ化窒素です。ごくわずかしか排出しないGHGに関しては、全体の排出量の5%未満であれば算出から除外することができます。従来は除外した数値の提出は不要でしたが、改定後は除外したものについても5%未満である証明として数値の提出が必要となりました。
GHG排出量の約9割が二酸化炭素のため、その他のGHGを排出している意識は薄いかもしれませんが、例を挙げるとメタンや一酸化二窒素は自動車の走行により排出されています。ほとんどの事業者は自動車を利用しているため、こうした数値も算出する必要があります。
SBTはマイページを通じて必要事項を提出した後、事務局による審査が行われます。この審査では事務局が目標の妥当性を確認し、不備があれば修正や説明を求めるメールが届きます。従来は申請を行った後事務局による審査が行われ、承認後に申請費用を送金し、SBTのHPに掲載されることで認証取得完了という流れでした。しかし改定後は、アカウント作成後と申請・送金完了後に事務局の審査が入り、承認されてから1か月後にSBTのHPへ社名が掲載されるよう変更になっています。2025年2月現在、申請・送金後の審査待ちの期間が申請日から30~45日となっており、アカウント作成から認証取得までに2か月以上の時間を要します。
この他にも指定の排出源別の排出量や排出係数の情報源の提出、英文での記述回答項目の追加等、従来よりも申請手続きが複雑になっています。複雑な手続きを英語で行う必要があるため、忙しくて時間が取れない、難しくてできそうにないという方は、専門コンサルタントへの依頼を検討してみてはいかがでしょうか。
SBT認証の取得件数の増加に伴い、詳細な情報の提出が必要となったり事務局による審査が厳格になったりしています。近年は1年に1回の頻度でガイドラインの改定が行われており、年々SBT認証取得のプロセスが複雑化しています。今後も改定が行われる可能性は十分にありますので、SBT認証の取得を検討中の方は早めに申請を行うことをお勧めします。
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