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コラム

2024.10.10

24年10月に初開催された展示会「CCUS WORLD」!「CCUS」って何?

1.はじめに

2024年10月2日(水)から幕張メッセにて開催された、脱炭素経営EXPO【秋】に出展させていただきました。ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
私たちは中小製造業向けの脱炭素経営支援サービスを提供しており、展示会でも中小製造業のみなさまに向けて宣伝をさせていただきました。しかし、実際には大企業の方から「仕入先の脱炭素経営を進めたい」といった相談や、公的機関の方から「地元企業のGX支援の一環としてセミナーをしてほしい」といった要望を、数多くいただきました。未だに中小企業に脱炭素経営が浸透していないと感じたと同時に、同業他社に先駆けて脱炭素経営に取り組む中小製造業には新たなビジネスチャンスがあるように感じました。

さて、同会場にてCCUS WORLD ~CO2の分離・回収・利用・貯蔵技術展~ が開催されていました。「CCUS」はカーボンニュートラル実現に向けた主要技術の1つであり、その事業化が始まっていますので、ご紹介させてください。

 

2.CCUSとは

CCUSとは、Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略で、日本語では「二酸化炭素回収・利用・貯留」と訳されます。CCUSの主な目的は、大気中に放出される二酸化炭素(CO2)を減らし、地球温暖化を抑制することです。同時に、回収したCO2を有効利用することで、新たな産業や製品を生み出す可能性を秘めています。

 

3.CCUS技術の事業化が進む

展示会では、CCUS技術を活用した製品として、主に排ガスから二酸化炭素を回収する装置と、回収したCO2から合成メタン(e-メタン)を製造する装置を宣伝されていました。
二酸化炭素を回収する装置は、発電所やプラントなど大量の排ガスを排出する施設に設置され、大型装置の場合は1日に200トン以上のCO2を回収できるそうです。これは、スギ88万本分に相当します(スギ1本1日当たりCO2吸収量は約0.23キロ(出典:林野庁))。
e-メタンを製造する装置は、回収したCO2と水素(H2)を反応させることでe-メタンを製造し、ボイラーや自動車の燃料として活用が想定されています。一度排出されたCO2を原料としているため、使用しても大気中のCO2は増えないことから、カーボンニュートラルなエネルギーと言われています。


(メタネーションのイメージ(出典:一般社団法人日本ガス協会のホームページ))

また、日本政府も二酸化炭素を回収して地下に貯留する技術の事業化に向けて、二酸化炭素の貯留地の検討や事業性調査などを進めています。この取り組みは、2030年までに年間1,300万トンのCO2貯留を目指しています。


(先進的CCS事業の実施に係る調査(出典:独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構))

 

4.中小製造業とCCUS技術の関係性

中小製造業にとって、CCUS技術は一見すると縁遠いものに感じられるかもしれません。しかし、この技術の普及は中小製造業にも様々な機会をもたらす可能性があります。
例えば、CCUS技術を活用した装置は、様々な構成部品を組み合わせて作られており、中小製造業の強みである高い技術力と柔軟な生産体制を活かすことで、こうした部品の製造に参入できる可能性があります。また、自社で使用する従来の燃料をe-メタンに代替することで、環境に配慮した企業としてのイメージを構築し、取引先や消費者からの信頼獲得につながる可能性もあります。

 

5.まとめ

CCUS技術を活用した製品・サービスは、大企業が商用化を始めた段階であり、普及するまでには未だ時間がかかると思います。その一方で、日本政府は省エネや脱炭素技術の転換によるCO2排出量の削減には限界があるとしており、どうしても排出されてしまうCO2ついては、CCUS技術を活用してCO2を直接回収することで、カーボンニュートラルを実現する計画としています。
脱炭素への取り組みは、すべての企業や個人に求められる社会的責任となりつつあります。これを単なる義務として捉えるのではなく、新たなビジネスチャンスとして前向きに取り組むことが重要です。CCUS技術をはじめとする環境技術に注目し、積極的に情報収集や検討を行うことで、中小製造業の皆様にも新しい事業機会が開けていくでしょう。
私たちは今後も、中小製造業の皆様に向けて脱炭素経営に関する有益な情報を発信してまいります。この情報が皆様のビジネス展開の一助となれば幸いです。

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