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コラム

2024.08.29
SBT

SBT認定についてよくある質問にお答えします!

地球温暖化の加速に伴い脱炭素経営が求められる中、SBT認定という国際認証制度が注目されており、取得を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。私たちゼロプラスは中小企業のSBT認定取得支援を行っていますが、取得手続きを行う中で企業から様々な質問を受けます。今回はSBT認定取得までの流れを基に、寄せられた質問をご紹介します。

 

 

SBT認定とは

SBT(Science-Based Targets)とは、パリ協定の目標に沿って企業が設定する科学的根拠に基づく温室効果ガス排出削減⽬標のことです。国際機関を通して2030年までの削減目標を設定することで、SBT認定という国際認証を取得することができます。これにより、持続可能な企業であることを投資家や取引先にアピールすることができます。昨年、日本の中小企業の取得数は約1年で3倍以上に増加し、日本はSBT認定取得企業数が世界で最も多い国となっています。
https://www.wwf.or.jp/activities/news/5561.html
SBT認定には通常版と中小企業版の2種類がありますが、今回は私たちが支援している中小企業版SBT認定について解説します。

 

中小企業版SBT認定取得までの流れ

まずは中小企業版SBT認定取得の流れを説明します。(2024年8月現在)
中小企業版SBT認定の申請条件である以下の項目のうち、3つ以上に当てはまる企業のみが申請できます。

・従業員数250人未満
・売上高5,000万ユーロ未満
・総資産2,500万ユーロ未満
・森林、土地および農業(FLAG)セクターに分類されていない
(林業用木材、パルプ・紙、食品生産-農業生産・動物由来、食品-飲料加工・主食加工またはタバコ等)

 

・基準年の設定、エネルギー使用量収集、CO2排出量の算定

まず基準となる年を設定し、2030年までに基準年のCO2排出量から42~50%削減することを目標とします。基準年は過去6年間から設定可能で、基準年のCO2排出量が多いほど目標の達成が容易になります。
基準年設定後、その1年間で使用したエネルギーの明細から使用量を収集します。ガソリン、軽油、灯油などの燃料やガス、電気など、CO2を排出するものが対象です。各エネルギーの使用量が把握できたら、排出係数を用いてCO2排出量を算出します。

 

・申請フォームにて申請

用意した情報を基に、SBTの公式ホームページの申請フォームから申請を行います。申請項目は全て英語で記載されているため、会社情報や記述箇所は英語で入力する必要があります。また、申請条件項目やCO2排出量の確認のために裏付け書類を提出する必要があるため、PDFで添付できるよう準備しておきましょう。
https://sciencebasedtargets.org/step-by-step-process

 

・目標の認証、申請料の支払い

申請後、SBT事務局で審査が行われ、結果報告メールが届きます。申請内容に不備があった場合、SBT事務局より詳細を求めるメールが届くことがあります。目標認証後に発行される請求書を基に、申請料の1,250ドルを支払います。海外送金のため、申請料に加えて為替手数料や送金手数料が必要です。

 

・目標公開

事務局にて入金が確認されるとSBTの公式ホームページに会社情報や設定した目標に関する情報が掲載されます。SBT認定取得者にはロゴマークが付与されるため、自社ホームページ等に掲載してSBT認定取得をPRすることができます。
https://sciencebasedtargets.org/target-dashboard

 

よくある質問

私たちゼロプラスが支援した企業から実際に寄せられた質問をまとめました。今後、中小企業版SBT認定取得を検討される方は参考にしてください。

Q.切断や溶接に使用するガスの使用量も収集の対象になりますか?
A.アセチレンガスやレーザーガスなどもCO2を排出するため、集計の対象となります。

Q.CO2排出量はどうやって計算するのですか?
A.CO2排出量はエネルギーの使用量に排出係数を掛けることで算出することができます。排出係数はエネルギー種別ごとに異なり、電気の排出係数は年度や電力会社によって異なります。レーザーガスのような混合ガスのCO2排出量を求める場合、CO2混合率が必要です。

Q.事務局へのメールは日本語でも大丈夫ですか?
A.事務局は海外にあるため、英語でやり取りする必要があります。

Q.SBT認定取得後、何か報告書のようなものを提出する必要がありますか?
A.報告書の提出はありませんが、目標設定後は毎年CO2排出量を算出してホームページなどで公開する必要があります。

Q.認定証のようなものはもらえますか?
A.SBT事務局から認定証の発行はありませんので、公式ホームページでの会社名の公開が認定取得の証明となります。

 

まとめ

年々取得する中小企業が増えているSBT認定では、脱炭素経営の取り組みにおける目標を設定することができます。目指すべき数値を把握し、CO2排出量削減に向けた計画を立てられるほか、SBT認定を取得することで、他社との差別化を図ることができます。これからCO2排出量削減を強化しようと考えている方は、ぜひ取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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