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コラム

2024.08.15

省エネ大賞受賞!中小企業の設備電力を可視化する「エニマス」を使ってみた。

中小製造業にとって、設備の電力使用量を効率的に管理することは大きな課題です。その解決策として注目を集めているのが、中小製造業が開発した中小製造業のための設備の電力見える化システム「エニマス」です。このシステムは省エネ大賞を受賞し、多くの企業から高い評価を得ています。
脱炭素経営に向けての取組みは様々ですが、まず初めの段階としてエネルギー使用量を見える化し、CO2排出量や電気代等、現状を把握することが大切です。カーボンニュートラルへの動きに伴いエネルギー使用量等の管理システムに対する需要が高まっている中、エニマスは中小製造業のニーズに応える画期的なサービスとして注目を集めています。そこで、今回は実際にエニマスを試用してみましたのでご紹介します。

 

エニマスとは

エニマスとは、企業や工場の電力使用量、CO2排出量、電気代などを簡単に見える化するサービスです。配電盤のブレーカーに専用の計測器を取り付けるだけで電力を測定できるため、大掛かりな工事や複雑な設定が不要です。また、1台の計測器で最大8系統のデータを取得可能であり、複数の設備や機器の電力使用状況を効率的に管理します。測定したデータは専用アプリで確認できるほか、CSV形式でのデータ出力も可能で、詳細な分析や他のシステムとの連携も容易に行えます。

 

実際に使ってみた

設備の電力使用量をリアルタイムに把握できるという特徴に興味を持ち、私たちも実際にエニマスを利用してみました。
事前準備として、分電盤に専用の計測器を設置します。子機と接続したクランプセンサーでブレーカー部分の電線を挟み、親機と接続した子機を分電盤の内側に、親機を分電盤の外側に取付け、設置完了です。親機をコンセントにつなぐと、4GのSIMでクラウドサーバーと通信を始めます。設置作業は想定以上に簡単で、専門知識がなくても問題なく行うことができました。

設置完了後は、すぐに専用アプリから測定データを確認することができました。電気使用量やCO2排出量などの情報をリアルタイムで見ることができ、直感的に理解しやすいインターフェースのように感じました。

 

エニマスの有効に活用するための考察

・設備同士の比較から電気使用量の多い設備を特定

今回の試用では、複数の旋盤を対象に電力使用量を測定しました。同じ旋盤でも、型式や製造年、稼働条件などによって電気使用量が大きく異なることが確認できました。このことから、エニマスで測定した設備を電気使用量の多い順にランク付けすることが可能です。ランク上位の設備を優先的に省電力の設備へ更新したり、運用方法を見直したりすることで、効果的な省エネが期待できます。

 

・時間帯別電気使用量からムダの要因を特定

測定データは、様々な時間単位(1時間、1日、1か月、1年)でグラフ表示し、分析できます。例えば、ある設備の1日の電力使用量グラフを分析したところ、午前中の電力消費が特に多く、午後から徐々に減少していく傾向が見られました。この結果を受けて、午前中の作業内容を詳細に分析したところ、設備の立ち上げ時に不必要な電力を消費していることが判明しました。このように、時間帯による電力消費の傾向から、その要因を突き止めて改善活動をおこなうことで、省エネ効果が期待できます。

 

・カテゴリ別の比較から工場全体における電気使用量の大きいカテゴリを特定

一般的な製造業の電気使用割合は、生産設備が約50%、コンプレッサ・ポンプ・ファンが約15%、空調が約10%と言われています。全てのブレーカーにエニマスを設置した場合、これらのカテゴリ別に正確な電気使用割合を確認できます。カテゴリ別から設備別に電気使用割合を見ていくことで、影響の大きい部分から優先的に省エネ活動に取り組むことが可能となり、工場全体で大きな省エネ効果が期待できます。

 

まとめ

エニマスは、電気使用量に加えて、CO2排出量や電気代も把握できることから、脱炭素経営の推進支援ツールとして役立ちます。省エネ設備の導入や工場全体のCO2排出量管理に取り組んでいる企業であっても、エニマスを活用することで見逃していた電力のムダを発見できたり、設備の運用方法の見直すきっかけになったりする可能性があります。脱炭素経営の初期段階における現状把握はもちろん、ある程度省エネに取り組んでいる企業にとっても、新たな省エネの取り組みに向けた気づきを提供してくれるといえるでしょう。
今後、多くの企業がこのようなツールを活用し、環境負荷の低減と経営効率の向上を同時に実現していくことが見込まれます。私たちも、新たなツールや技術を積極的に活用し、コラムを通してその経験や知見を共有していきます。

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