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コラム

2024.07.04

(第2弾)CFP(カーボンフットプリント)の算定手順をわかりやすく解説!

製品が製造されて廃棄されるまでにどのくらいのCO2を排出しているのかを明らかにするCFP(カーボンフットプリント)制度。今回は第2弾として、私たちゼロプラスで算定の支援をさせていただいた製造業の会社様の実際の流れを基に、CFP算定の手順について詳しく解説します。
第1弾はこちら https://www.co2-hikaku.com/column/1110/

CFP算定手順の概要は以下のような流れになります。
Step1.算定方針の検討
Step2.算定範囲の設定
Step3.CFPの算定
Step4.検証・報告
本コラムではStep1とStep2についてご説明します。

 

Step1.算定方針の検討

・対象製品

どの製品を算定対象にするかを決めます。今回は送風機を対象として算定を行っていきます。

 

・目的確認

CFPを算定する目的により異なる算定基準が設けられているため、まずは目的を明確にして満たすべき要件を確認する必要があります。今回こちらの会社がCFPの算定を行った目的は以下の通りでした。

・取引先や消費者にCO2排出量データを提供するため
・環境経営の企業ブランディングにより、差別化を図るため
・CO2排出量の削減効果・努力を見える化するため

他社製品との比較を目的とする場合は、より公平な算定が必要となるため製品別算定ルール(CFP-PCR)という製品ごとに定められたルールに従って算定を行わなければなりません。今回は他社との比較が目的ではないので、自社で算定ルールを作成しました。

 

・ライフサイクルの決定

製品の原材料調達から製造、出荷、廃棄、リサイクル等のライフサイクルステージから算定範囲を決定します。最終製品の場合は原材料調達から廃棄・リサイクルまで、中間製品の場合は原材料調達から製造(出荷)までを基本とします。CFPを提供する相⼿や提供の⽬的によって選択することも可能ですが、特定のライフサイクルステージを除外する場合は除外する理由の説明が必要です。
今回対象としている送風機は最終製品のため、原材料調達から廃棄・リサイクルまでを算定範囲として設定しました。


出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/carbon_footprint/pdf/20230526_4.pdf

 

Step2.算定範囲の設定

・カットオフ基準の検討

カットオフは設定した算定範囲から一部をCFPの算定対象外とすることを指します。生産工場の建設に係る排出量等、対象製品の排出として算定するのが難しいものがカットオフの対象となります。
今回の集計では生産工場の建設に係る負荷の他に、事務部門や研究部門などの間接部門に係る負荷や土地利用変化に係る負荷等をカットオフの対象としました。また、一部部品については累計重量が算定対象製品の総重量の5%未満の場合にカットオフ可能というルールを定めています。

 

・ライフサイクルフロー図の作成

Step1で決定したライフサイクルを基にライフサイクルフロー図を作成します。ライフサイクルフロー図とは原材料調達から廃棄・リサイクルまでの流れを図にしたもので、各段階においてCO2排出量に関するインプットやアウトプットをわかりやすくまとめることができます。

【送風機のライフサイクルフロー図】

段階ごとにライフサイクルに係るすべての物やプロセスを記載し、算定対象になるものと対象外のものとを区分して整理します。CFP算定を行うには膨大な量のデータ収集が必要になるため、各段階でどのようなデータが必要かをライフサイクルフロー図にまとめることで算定作業が行いやすくなります。

 

・算定ルール設定

CFP算定時は、その製品の構成要素や素材の定義、必要なデータ収集項目等、算定における規則を記載した算定ルールを用いて行います。今回は自社で算定ルールを作成しました。

【送風機の算定ルール(一部抜粋)】

算定ルールに含む具体的な内容は定められていませんが、今回は以下のような項目を算定ルールとして設定しました。

・製品種別の定義
・引用規格
・データの収集範囲
・全段階に共通して適用する算定方法
・各段階に適用する項目

また、輸送や消費者の元に渡ってからの使用の段階においては、配送網の把握や使用頻度等、活動量の把握が難しいことがあります。その場合は、シナリオとして輸送過程や使用条件を仮定して算定をすることが可能です。今回は輸送段階において輸送距離、輸送手段と積載率をシナリオとして用意し、正確なデータの把握が難しい場合にシナリオに示した条件を適用することとしました。さらに、使用段階におけるシナリオとして、想定使用期間7年、生涯消費電力量を[kWh/時間]×稼働率×1日あたり稼働時間×年間稼働日数×耐用年数で求めることとしました。

 

まとめ

CFPは算定作業をする前に算定の目的やルール、範囲を設定しておくことが重要です。算定の全体像を詳細に落とし込み、算定範囲を明確にすることができるライフサイクルフロー図も必ず作成しましょう。算定ルールに盛り込む具体的な内容は決まっていませんが、担当者の変更時や将来再算定をする時に活用できるよう詳細に設定しておくのをお勧めします。Step3とStep4については第3弾のコラムとして公開しますのでお楽しみに!

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