EMS(エネルギーマネジメントシステム)は、持続可能な未来に向けた中小企業の強力な味方となっています。これまでは主に大手企業が利用していましたが、中小企業が利用することでエネルギー管理における劇的な変革が生まれつつあります。ある程度省エネに努めているものの思ったようにCO2の削減が進んでいないという場合は、まだ気づいていないエネルギーの無駄が発生しているかもしれません。本コラムではEMS活用による省エネ経営への新たな可能性についてご説明していきます。
EMS(エネルギーマネジメントシステム)は、組織や施設がエネルギーの使用と制御を最適化し、効率を向上させるためのシステムです。EMSはセンサーやデータ収集装置を使用してエネルギーの消費量を監視・分析します。工場、建物、家等、管理する対象によって種類が分かれており、コストの削減、環境への配慮、持続可能性の向上を達成するためのツールとして広く利用されています。さらに、現在エネルギーコストの増加が企業にとって課題となっていますが、EMSはエネルギーコストを管理し、削減する方法を提供します。これらの要因を踏まえてEMSを導入し、競争力を維持しながら環境への貢献を実現する重要性が注目されています。
エネルギーを効率的に管理し、設備単位でどの程度エネルギーを使用しているのか把握することができます。設備単位でのCO2排出量を把握しCO2排出量の多い設備から更新を進めるなど、対策を講じていくことで効率的にCO2排出量を削減することができます。
従来は明細が発行されるまでエネルギー使用量の確認ができませんが、EMSを導入すればリアルタイムで使用量が確認できます。リアルタイムで確認できるため時間帯ごとの使用量も把握でき、エネルギーの無駄な消費を発見できる場合があります。
EMSはエネルギー消費データのモニタリングにより効率的なエネルギー利用を促進します。そのため過剰なエネルギー消費が無くなり、エネルギーコストの大幅な削減が期待されます。また、EMSは設備や機器の適切な点検スケジュールを提供し故障を最小限に抑え、修理や交換のコストを低減させます。
導入場所の規模によって異なりますが、初期導入費用が高額になる場合があります。導入にあたっては、省エネ補助金(エネルギー需要最適化型)等の補助金制度を上手に活用し初期費用を抑える必要があります。補助金についてはこちらの運営団体のHPにてご確認ください。
https://syouenehojyokin.sii.or.jp/124business/
EMSはエネルギーの分析による行動計画を立てて運用し運用状況の評価をしたうえで改善に生かしていく必要があります。EMSは使用量を可視化し省エネ対策に役立つシステムですが、エネルギー管理に関する知識を持っていないと効果的な省エネ計画をたてるのは難しいです。専門知識を持つ人材が不足している場合は、EMS提供事業者等、外部の専門機関に相談するのがおすすめです。
出典:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/iso50001/intro.html
資源エネルギー庁で公開されている、ある自動車部品工場でのEMS導入事例をご紹介します。
こちらの工場では工場内の空調を自動制御しエネルギーの合理化を図るためにEMSを導入しました。受電電力量を清算して電力負荷の遮断と復帰を行い、空調機に停止時間を設けて節電運転を行う等EMSの電力制御機能を活用することで、空調稼働の最適化に成功しました。その結果EMS導入前と比べて使用電力量の削減につながったとのことです。
詳細はこちらの資料39ページをご覧ください。
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/pdf/015_s01_00.pdf
使用状況をリアルタイムで可視化しエネルギーの最適化を行うEMSを導入することで、無駄な消費を特定して効率的なエネルギー利用を実現しコストの削減が可能になります。初期導入費用はかかりますが、長期的視点で考えると大幅なコスト削減につながる可能性が高いです。省エネの取組に行き詰っているという方やさらに成果を出したいとお考えの方は、効率的にエネルギーを利用するためにEMSの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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