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コラム

2024.04.18

CO2排出が実質ゼロになる!カーボンニュートラルな燃料について解説!

地球温暖化の大きな原因となっているCO2ですが、身近な部分で多くCO2を排出しているものに車や飛行機等の交通機関があると思います。車や飛行機は燃料を燃焼して動かしており、その排気ガスに含まれているCO2は日本全体のCO2排出量の約17%を占めています。
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html

温室効果ガス排出の大きな原因になっているガソリン等燃料ですが、現在は環境に優しい燃料が開発されていますのでご紹介します。

 

バイオエタノール

バイオエタノールはバイオ燃料の一種で、バイオマスと呼ばれる再生可能な資源を利用して製造される燃料のことです。トウモロコシやサトウキビ等のバイオマス資源を発酵させて作られるバイオエタノールはガソリンの代替燃料として利用できます。バイオ燃料は従来のガソリン同様、使用時にCO2を排出しますが、植物を始めとしたバイオマス資源は成長段階で空気中のCO2を吸収して育つため、実質の排出量は0とみなされます。そのため従来のガソリンにエタノールを混合して、より環境に優しい混合ガソリンを製造することも可能です。
現在日本ではガソリンに混ぜるエタノールは3%までという規定があり、このガソリンはE3ガソリンと呼ばれ、アメリカではエタノール混合率15%のE15ガソリンが流通しています。さらにブラジルではガソリンへのエタノール混合が義務化されており、混合率がさらに高い25%や100%のものも使用されています。
アメリカやブラジルでは原料となるトウモロコシやサトウキビを大規模生産しています。そのためバイオエタノールが安価で取引され、混合率が高くなるにつれてガソリンの値段も安くなる傾向があります。

 

合成燃料

合成燃料は水素やCO2から作り出される燃料のことです。発電所や工場から排出されたCO2を用いて製造するため、CO2排出量を増やさずに使用することができます。また、合成燃料の中でも再生可能エネルギーにより生成されるグリーン水素を用いて作り出す合成燃料を「e-fuel」といいます。現在はまだ研究開発の段階ですが、政府は2030年代前半までに合成燃料を商用化することを目指しています。
合成燃料はCO2をCO(一酸化炭素)に転換し、水素と合成して製造するメタンガスが原料となります。合成に使用する水素は水電解で水から水素を作り出すというのが主な方法です。e-fuelの場合は風力や太陽光のような再エネ由来の電気エネルギーを使って水電解を行います。CO2は発電所や工場から排出されたものを使用しますが、大気中のCO2を直接分離、回収するDAC(Direct Air Capture)という方法も実用化を目指して海外を中心に開発が進められています。DAC装置を稼働するには多くの電気エネルギーを利用するため、再生可能エネルギーを大量に用意する必要があり、コストがかかりすぎるという課題があります。

出典:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/gosei_nenryo.html

 

国内での導入に向けて

海外では安価なバイオエタノールですが、国内では製造コストや原料の運搬コストにより価格が高くなってしまい幅広い普及に至っていません。合成燃料についても再生可能エネルギーを利用することで価格が高くなり、1Lあたり約700円と従来のガソリンよりもはるかに高いのが現状です。しかし現在、こうした課題を解決すべく研究開発が進められています。
北海道では2030年ごろまでに再生可能エネルギー由来の水素であるグリーン水素の製造、供給を行うサプライチェーンを構築し、年間1万トンのグリーン水素の製造を目指しています。製造されたグリーン水素は地域の工場へ供給されるほか、e-fuelの原料として使用される予定であり、現在課題となっているグリーン水素供給の安定化が期待されています。

出典:https://www.hepco.co.jp/info/2023/1252342_1972.html

こうした開発が進むと環境に優しい燃料の価格も下がっていくと見られています。資源エネルギー庁によると、現在は1Lあたり約700円ですが、開発により2050年頃には約100円~150円代での流通を目指しています。
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/green_innovation/energy_structure/pdf/007_02_00.pdf

 

まとめ

バイオエタノールや合成燃料は実用化に向けて国内外で研究開発が進められています。こうした燃料を作るために必要な電力を再生可能エネルギーで補うことで、社会全体がカーボンニュートラルになっていきます。一番の課題となっている価格が下がると、広く普及する燃料となる日が来るかもしれません。

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