目次
1.カーボンニュートラルとは簡単に
2.なぜカーボンニュートラルする必要があるのか
3.日本のカーボンニュートラル実現のための取り組み
4.中小企業がカーボンニュートラルに取り組む上での課題とメリット
2020年10月に、菅内閣総理大臣が、日本が2050年までに「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。そして世界でも、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げています。このように、日本でも世界でも「カーボンニュートラル」に対して大きく注目が集まっています。しかし、その言葉の意味についての理解が深まっていない方も多いかもしれません。そこで、本記事では、カーボンニュートラルとはなにかについて解説し、最後に中小企業がカーボンニュートラルに取り組む上での課題とメリットについて解説します。
カーボンニュートラルとは、簡単に言うと、「温室効果ガス排出量をできるだけ削減し、削減できなかった温室効果ガスを除去または吸収することで排出量を実質的にゼロにすること」です。温室効果ガスの排出をゼロにするのは難しい分野もあるため、できるだけ排出量を削減する努力は行った上で、削減が難しい温室効果ガスを何らかの手段で実質的に0にしようという考え方です。
カーボンニュートラルは、気候変動の影響をできるだけ小さくし、人類や全世界の生態系を守るために必要とされています。気候変動の主な原因は、CO2をはじめとした温室効果ガスの排出も関連していると言われています。
また、2015年に採択されたパリ協定は、2020年以降の国際的な温室効果ガス削減に関する取り決めを話し合う「国連気候変動枠組条約締約国会議」で合意された、気候変動問題に関する取り決めです。この協定では、2021年時点で世界189の国と地域が合意しており、合意した国と地域が排出する温室効果ガスは、世界の排出量の86%以上におよびます。
そして、多くの調査から、今後人類が安全に暮らしていくには、気温上昇を1.5℃程度に抑える必要があると考えられています。そのためには、2050年までにカーボンニュートラルを実現しなければならないとIPCCによって評価報告書を受け、2050年カーボンニュートラルが事実上の国際目標として認識されるようになりました。
このような背景から、世界では、カーボンニュートラルの実現を目指す必要があると考えられています。
日本は「2050年カーボンニュートラル宣言」を実現するため、「グリーン成長戦略」を掲げています。この戦略は、企業の温暖化対策を推進する産業政策です。この戦略で民間企業の大胆な技術革新を促し、日本の「経済と環境の好循環」をつくっていくことが目的です。企業の技術革新を後押しするには企業のニーズにあった支援策が必要です。具体的な5つの主要政策がありますが、今回はそのうちの3つを以下で紹介します。
日本政府は2020年に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に2兆円の「グリーンイノベーション基金」を創設し、企業を今後10年間、継続して支援していく予定です。この2兆円を契機として、約15兆円の民間企業の野心的なイノベーション投資を引き起こすことが狙いとしています。
企業の脱炭素化への投資を奨励するため、大胆な税制措置を導入し、10年間で約1.7億円の民間投資が生まれる効果を目指します。具体的には、「カーボンニュートラル投資促進税制」を設けます。たとえば、脱炭素化に向けた製品を生産するための設備導入には、一定の税金優遇が提供されます。同様に、困難な状況でも積極的な研究開発投資を行う企業に対しては、「研究開発税制」の税金控除上限を引き上げて、投資意欲を刺激していきます
脱炭素化技術の需要を広げ、量産を推進するために、新技術の採用を促進するための規制を強化し、不合理な規制は緩和します。また、日本の新技術が国際的に広がるよう、国際標準化にも注力します。例えば、水素の国際輸送に関連する機器の標準化や、電動車の普及を推進するための燃料規制の調整などが含まれます。
カーボンニュートラルを実現するためには、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入などの大規模な投資が必要です。このため、初期費用が非常に高くなることがあります。特に、既存の施設や設備に対する改修や改良が必要な場合は、費用がかさむことがあります。
カーボンニュートラルを実現するためには、温室効果ガスの排出量を正確に計測することが求められますが、その検証には困難が伴うことがあります。特に、サプライチェーン内での排出量の追跡が難しい場合、正確な検証が難しくなることがあります。また、温室効果ガスの削減に対する国際的な報酬や手法に関する合意が整備されていないため、認証や認定制度が未発展であることも、検証の難しさに影響を及ぼしています。
カーボンニュートラルの取り組みを行うことで、企業の社会的責任や環境保護に対する意識が高いことをアピールすることができ、企業のイメージ向上につながることがあります。また、環境問題に関心のある消費者からも支持を得ることができ、市場競争力の強化にも繋がります。また、将来的に行われるであろう法規制にも備えることができます。
カーボンニュートラルの取り組みにより、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの導入により、コスト削減が可能です。省エネルギーや再生可能エネルギーの導入には初期費用がかかりますが、長期的にはエネルギー使用量が減少し、コストが削減される効果があります。さらに、省エネや再生可能エネルギーの導入により、エネルギー価格の変動や供給の不確実性からくるリスクを軽減することも期待できます。
本記事では、カーボンニュートラルについて解説しました。このように、世界ではもちろん、日本でも2050年の目標に向かってカーボンニュートラル化を進めようとしています。中小企業は、このような流れに乗り遅れることなく、支援などを上手く活用することで、コストなどの課題を解決し、カーボンニュートラル化を進め、そのメリットを受けましょう!
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